2026年8月03日
川口市・蕨市・戸田市の消化器内科医が解説|「1回だけだなら大丈夫?」
職場の健康診断や川口市・蕨市・戸田市の大腸がん検診、人間ドックで、「便潜血検査が2回中1回だけ陽性でした」と言われたことはありませんか?
「2回とも陽性ではないから大丈夫だろう」
「痔があるから、そのせいでは?」
「もう一度便潜血検査をすれば陰性になるかもしれない」
このように考え、大腸カメラを受けずに様子を見てしまう方は少なくありません。
しかし、便潜血検査が1回でも陽性であれば、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けることが強く推奨されています。
今回は、川口市・蕨市・戸田市で便潜血陽性と指摘された方に向けて、その理由を日本人を対象とした研究をもとに分かりやすく解説します。
便潜血検査(FIT)とは?
便潜血検査(FIT:Fecal Immunochemical Test)は、便の中に混じった肉眼では見えない血液(ヘモグロビン)を調べる検査です。
日本では大腸がん検診として広く行われており、川口市・蕨市・戸田市の自治体検診でも採用されています。
通常は2日分の便を提出する「2回法」が行われ、
- 2回とも陰性
- 1回だけ陽性
- 2回とも陽性
の3つに分類されます。
2回とも陽性の方が大腸がんの危険性は高くなりますが、1回だけ陽性でも安心とは言えません。
日本人を対象とした研究では、1回陽性でも約50人に1人が大腸がんでした
東京都世田谷区のとよしま内視鏡クリニックと東京大学消化器内科が共同で行った研究では、便潜血検査で陽性となった日本人に大腸内視鏡検査を行い、その結果を解析しています。
この研究は、2021年に国際的な医学雑誌「BMJ Open」に掲載された、日本人を対象とした信頼性の高い研究です。
その結果、
- 便潜血1回だけ陽性だった方では約2%(約50人に1人)に大腸がん
- 便潜血2回とも陽性だった方では約12%(約8人に1人)に大腸がん
が見つかりました。
つまり、2回陽性の方がリスクは高いものの、1回だけ陽性でも大腸がんが見つかる可能性は決して低くありません。
大腸がんだけではありません。半数以上の方にポリープが見つかります
「がんではなかったら、大腸カメラを受けなくてもいいのでは?」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際には便潜血陽性で見つかるのは、大腸がんよりも大腸ポリープ(腺腫)の方がはるかに多いことが分かっています。
この日本人を対象とした研究では、
- 便潜血1回陽性の方では半数以上に大腸ポリープが見つかりました。
- 便潜血2回陽性でも約6割にポリープが見つかっています。
これらのポリープの中には、将来大腸がんへ進行する可能性のある「腺腫(前がん病変)」が多く含まれています。
大腸内視鏡検査では、その場でポリープを切除できることが多く、大腸がんになる前に予防できることが最大のメリットです。
つまり、大腸カメラは
- 大腸がんを早期発見する検査
であるだけでなく、
- 大腸がんを未然に防ぐ検査
でもあるのです。
「もう一度便潜血検査をすれば安心」は間違いです
「もう一度便潜血検査をして陰性なら大丈夫ですか?」
この質問をよくいただきます。
答えは「いいえ」です。
大腸がんやポリープは毎日出血しているわけではありません。
そのため、
- 今日は陽性
- 明日は陰性
ということは珍しくありません。
一度陽性になった後に便潜血検査をやり直して陰性になったとしても、大腸がんを否定することはできません。
そのため、国内外のガイドラインでは、便潜血陽性となった場合は再検査ではなく、大腸内視鏡検査を受けることが推奨されています。
痔があるから陽性だった?
痔による出血で便潜血検査が陽性になることはあります。
しかし、
「痔がある=大腸がんや大腸ポリープがない」ではありません。
実際には、
- 痔
- 大腸ポリープ
- 大腸がん
- 潰瘍性大腸炎
が同時に見つかることもあります。
「痔があるから大丈夫」と自己判断せず、大腸カメラで確認することが大切です。
便潜血検査にも限界があります
便潜血検査は、大腸がん検診として非常に優れた検査です。しかし、すべての大腸がんや大腸ポリープを見つけられるわけではありません。
特に、盲腸や上行結腸など、大腸の右側にできた病変は、左側の病変に比べて便潜血検査で見つかりにくいことが知られています。
海外の研究では、進行した前がん病変(advanced neoplasia)を便潜血検査で発見できた割合は、
- 左側大腸:約33%
- 右側大腸:約20%
と報告されています。
では、なぜ右側の病変は見つかりにくいのでしょうか。
理由① 血液が腸の中で分解されてしまう
便潜血検査は、便の中に含まれるヒトヘモグロビン(血液の成分)を調べる検査です。
右側大腸(盲腸・上行結腸)は肛門から遠いため、出血した血液は長い距離を移動してから便として排出されます。
その間に、腸液や腸内細菌の影響でヘモグロビンが徐々に分解されてしまい、検査で検出されにくくなります。
一方、左側大腸や直腸からの出血は、肛門までの距離が短いため、ヘモグロビンがあまり分解されず、便潜血検査で陽性になりやすくなります。
理由② 右側では便がまだ軟らかい
もう一つの理由は、便の状態です。
右側大腸では便はまだ水分が多く、軟らかい状態です。
この段階で少量の出血が起こると、血液は便全体に薄く広がってしまいます。
便潜血検査では便の一部だけを採取するため、採取した部分にたまたま十分な血液が含まれていなければ、陰性になることがあります。
一方、左側大腸では便が固まってきているため、血液が局所に残りやすく、便潜血検査で検出されやすいと考えられています。
便潜血が陰性でも安心とは限りません
このように、便潜血検査には限界があります。
そのため、
- 血便がある
- 貧血を指摘された
- 原因不明の体重減少がある
- 腹痛や便通異常が続く
- ご家族に大腸がんの方がいる
といった場合には、便潜血検査が陰性であっても、大腸内視鏡検査を受けることが大切です。あります。
川口市・蕨市・戸田市で大腸カメラをご検討の方へ
当院はJR西川口駅直結で、川口市・蕨市・戸田市から多くの患者さんにご来院いただいています。
鎮静剤を使用した苦痛の少ない大腸内視鏡検査を行っており、検査中にポリープが見つかった場合は、多くの場合、その場で日帰り切除が可能です。
「初めてで不安」
「以前の検査がつらかった」
という方も、安心してご相談ください。
まとめ
- 便潜血検査が1回だけ陽性でも、大腸カメラを受けることが大切です。
- 日本人の研究では、約50人に1人に大腸がん、半数以上に大腸ポリープが見つかっています。
- 大腸カメラは、大腸がんの早期発見だけでなく、ポリープを切除して大腸がんを予防できる検査です。
- 痔があっても、大腸がんや大腸ポリープが隠れていることがあります。
- 「1回だけだから大丈夫」と自己判断せず、早めに大腸内視鏡検査を受けましょう。
川口市・蕨市・戸田市で便潜血陽性と指摘された方は、「1回だけだから大丈夫」と自己判断せず、早めに大腸内視鏡検査をご検討ください。早期発見・早期治療、そして大腸がんの予防につながります。
参考文献
- Toyoshima O, Yamaji Y, Nishizawa T, et al. Priority stratification for colonoscopy based on two-sample faecal immunochemical test screening: results from a cross-sectional study at an endoscopy clinic in Japan. BMJ Open. 2021;11.
- Robertson DJ, Lee JK, Boland CR, et al. Recommendations on Fecal Immunochemical Testing to Screen for Colorectal Neoplasia. Am J Gastroenterol. 2017;112:37-53.
- van Turenhout ST, et al. Location of advanced adenomas influences the sensitivity of faecal immunochemical testing. Br J Cancer. 2011;105:1103-1108.