IBD専門外来(潰瘍性大腸炎)
IBD専門外来(潰瘍性大腸炎)
当院では潰瘍性大腸炎(UC: Ulcerative Colitis)の患者様を専門的に診療しております。
潰瘍性大腸炎の診断、寛解導入、寛解維持まで一貫してサポートし、必要に応じて大学病院や専門病院へ紹介いたします。
潰瘍性大腸炎で当院受診をご希望の方は、前医からの紹介状(診療情報提供書)がございましたらご持参ください。紹介状がない場合でも対応可能ですので、過去の内視鏡検査結果、採血結果、お薬手帳、臨床調査個人票のコピーなどをお持ちでしたらご持参ください。
IBD専門診療
潰瘍性大腸炎の診断、寛解導入、寛解維持まで専門的に対応します。
最新のIBD治療に対応
5-ASA製剤、生物学的製剤、JAK阻害薬、など幅広い治療に対応しています。患者様の病状やライフスタイルに合わせて最適な治療をご提案します。ただし、一部の薬剤については当院で対応できないこともあるので、ご相談ください。
土曜・日曜も診療
当院では土曜日は夕方まで、日曜日はお昼まで診療を行っております。平日の受診が難しい方でも継続して治療を受けていただける診療体制を整えています。
また、血便や腹痛、下痢の増悪など急な症状にも対応しております。
鎮静下大腸カメラ
潰瘍性大腸炎の状態評価や大腸がんサーベイランスに欠かせない大腸カメラ検査を、鎮静剤を使用して苦痛を抑えて実施しています。
医療費助成・難病申請サポート
潰瘍性大腸炎は国の指定難病です。当院では難病指定医が診療を行い、医療費助成制度の申請や更新手続きをサポートしています。安心して治療を継続できるようお手伝いいたします。
潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis:UC)は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こる原因不明の疾患です。現在の医学では根本的な原因を取り除く「完治」は難しいものの、適切な治療によって症状のない状態(寛解:かんかい)に導き、それを長く維持できるようになっています。
UC治療の最大の目標は、「寛解導入(炎症を速やかに抑えて症状をなくすこと)」と「寛解維持(良い状態を長期間保つこと)」です。
「寛解(かんかい)」とは?
寛解とは、病気の活動性が落ち着き、症状がコントロールされている状態を指します。近年は、患者さんが感じる症状の改善(臨床的寛解)だけでなく、大腸の粘膜そのものをきれいにする「粘膜治癒(Mucosal Healing)」までを目指すことが標準的な治療目標となっています。
なぜ「粘膜治癒」を目指すのか?
症状が消えても(臨床的寛解)、粘膜に炎症が残っていると早期に再燃(悪化)しやすくなります。しっかり粘膜治癒を達成することで、再燃率の大幅な低下、入院やステロイド使用の回避、さらには将来の大腸がん(炎症関連大腸がん)の発症リスクを減らすことができるためです。
新しい作用機序を持つ薬剤が小児されていますが、5ASA製剤(5-アミノサリチル酸)、ステロイド、免疫調節薬で寛解導入・寛解維持できる症例が多いと言われています。
新規薬剤については、寛解導入のみに使用するのか、寛解維持のみに使用するのか、寛解導入から寛解維持に使用するものかを分けて考える必要があります。
5-aminosalicylic acid(5-ASA)製剤は潰瘍性大腸炎(UC)の寛解導入・寛解維持の両者で有効性が認められており,現在も治療の基本(第一選択薬)となります。5-ASA製剤は腸管の粘膜で局所的に炎症を抑える働きがあり、軽症から中等症の患者さんの活動期治療や、寛解維持(再燃予防)に広く使用されています。
その歴史は古く、1930年代にサラゾスルファピリジン(商品名:サラゾピリン)が開発されたことから始まります。サラゾピリンは潰瘍性大腸炎に対して高い有効性を示しましたが、キャリア(運び屋)であるスルファピリジンという成分に起因する副作用(発疹、悪心、頭痛など)が課題でした。そこで、副作用の原因を除き、有効成分である5-ASA(メサラジン)だけを安全かつ効率よく大腸まで届けるために、様々なDDS(ドラッグデリバリーシステム)技術を用いた製剤が開発されました。
現在、日本国内では主に以下の3種類の経口メサラジン製剤が、それぞれの放出特性を活かして使用されています。

5-ASA製剤不耐とは
潰瘍性大腸炎の治療において最も基本となる薬剤であり、比較的安全性が高いことで知られています。しかし、約10%の患者さんでは5-ASA製剤を服用してから数日後に、血便・下痢の悪化、腹痛、発熱などの症状が出現することが報告されています。これらの症状は潰瘍性大腸炎の再燃と似ているため、区別が難しいことがあります。
5-ASA製剤不耐の対処法
5-ASA製剤不耐が疑われる場合には、まず薬剤を中止します。不耐による下痢や腹痛、発熱などの症状は、通常は中止後数日以内に改善します。
一方で、潰瘍性大腸炎そのものの炎症は残存しているため、病状に応じて別の治療が必要になります。
寛解導入治療では、ステロイドやその他の治療薬を使用します。
また、5-ASA製剤を継続できない患者さんの寛解維持治療では、チオプリン製剤(アザチオプリンなど)、生物学的製剤(バイオ製剤)、JAK阻害薬、S1P受容体調節薬などを使用します。患者さんの病状や重症度に応じて、最適な治療法を選択します。
ステロイドは強力な抗炎症作用・免疫抑制作用を持つ薬剤で、潰瘍性大腸炎の活動期において、炎症を速やかに抑え込むために使用されます。つまり、寛解導入を目的として使用されます。長期間使用すると、易感染性(感染症にかかりやすくなる)、満月様顔貌(ムーンフェイス)、糖尿病、骨粗鬆症、高血圧、精神症状など多岐にわたる副作用が問題となるため、原則として寛解維持には使用しないです。
プレドニゾロン(商品名:プレドニン®など)

中等症の活動期では通常、プレドニゾロン30〜40mg/日(または0.5〜1mg/kg/日)から経口投与を開始します。重症例では入院の上でステロイド点滴治療を行うこともあります。
症状の改善が得られた後は、再燃を防ぎながら徐々に減量(漸減)し、最終的な中止を目指します。
なお、以下のような場合は治療方針の見直しが必要となります。
ステロイド治療を受けた患者さんの約20~30%がステロイド依存、約10~20%がステロイド抵抗性を示すと報告されています。
このようなケースでは、後述する生物学的製剤(バイオ製剤)である抗TNF-α抗体製剤、JAK阻害薬、S1P受容体調節薬などに変更を検討します。
ブデソニドは、患部(局所)では高い抗炎症作用を発揮しながら、体内に吸収された後は肝臓で速やかに分解されるように設計された「アンテドラッグ」と呼ばれる第2世代ステロイドです。そのため、従来の全身性ステロイド(プレドニゾロンなど)と比較して副作用が少ないことが特徴です。
ブデソニドはこれまでに気管支喘息の吸入薬(パルミコート®)やクローン病の治療薬(ゼンタコート®)として使用されてきました。
経口ブデソニド(商品名:コレチメント®)

コレチメント®は、MMX(マルチマトリックス)技術により有効成分が大腸全体に届くよう設計された大腸局所作用型の経口ステロイド製剤で、2022年に承認されました。
1日1回朝に9mg(1錠)を服用するだけでよく、服薬の負担が少ないことも特徴です。
服用した薬剤の多くは肝臓で速やかに代謝されるため、全身に回るステロイド量が少なく、プレドニゾロンと比較して副作用を抑えることができます。
注腸ブデソニド(商品名:レクタブル®)

レクタブル®は直腸から薬液を注入する局所作用型ステロイド製剤です。特に直腸炎型や左側大腸炎型の潰瘍性大腸炎で有効性が高いことが知られています。
カロテグラストメチル(商品名:カログラ)

2022年に日本国内で承認された世界初の「経口」インテグリン阻害薬です。
中等症の活動期にある潰瘍性大腸炎の寛解導入のみに適応があり、寛解維持のためには使用できません。
カログラ投与開始後8週間時点で臨床症状や内視鏡所見などに改善傾向が認められない場合は、速やかに投与を中止し、他の治療法の切り替えを検討します。また、効果が認められて継続する場合であっても、投与期間は最長で6ヶ月(24週間)までと定められています。
アザチオプリン(Azathioprine:AZA)は、潰瘍性大腸炎の寛解維持療法に用いられる免疫調節薬です。効果が現れるまでに通常2~3か月程度を要するため、寛解導入治療ではなく、主に再燃予防を目的として使用されます。
アザチオプリンは白血球減少などの骨髄抑制を起こすことがあるため、治療開始前に採血でNUDT15遺伝子多型検査を行います。
NUDT15遺伝子に異常がない患者さん(野生型:Arg/Arg)では通常量で投与を開始できます。一方、遺伝子変異を有する患者さん(ヘテロ接合体:Arg/Cys、Cys/His)では副作用のリスクが高くなるため、少量から慎重に投与を開始します。
特にリスク変異のホモ接合体(Cys/Cys)では、重篤な骨髄抑制を生じる危険性が高いため、アザチオプリンの投与は原則として禁忌です。
治療中は定期的な血液検査を行い、白血球数や肝機能などを確認しながら安全に治療を継続します。

JAK(Janus kinase)阻害薬は、もともとは関節リウマチの治療薬として開発されましたが、現在では潰瘍性大腸炎の治療にも広く用いられています。
日本では、トファシチニブ(ゼルヤンツ®)が2018年、フィルゴチニブ(ジセレカ®)およびウパダシチニブ(リンヴォック®)が2022年に潰瘍性大腸炎に対して承認されました。
いずれも内服薬であり、寛解導入から寛解維持まで一貫して使用することができます。効果発現が比較的早く、高い有効性が期待できることから、中等症から重症の潰瘍性大腸炎に対する重要な治療選択肢となっています。
一方で、帯状疱疹や血栓症などの副作用に注意が必要です。

日本では2018年にベドリズマブ(エンタイビオ®)が潰瘍性大腸炎に対して承認されました。点滴で寛解導入し、寛解維持では皮下注も可能です。
ベドリズマブは主に腸管で作用するため、全身への影響が比較的少なく、高齢者や感染症リスクの高い患者さんにも使用しやすい薬剤です。一方で、効果が現れるまでに数週間から数か月かかることがあり、即効性はあまり期待できません。
IL-12/23およびIL-23は、潰瘍性大腸炎の炎症に関与するサイトカインの働きを抑えることで腸の炎症を改善します。
2020年にウステキヌマブ(ステラーラ®)、2023年にミリキズマブ(オンボー®)、2024年にリサンキズマブ(スキリージ®)、2025年にグセルクマブ(トレムフィア®)が承認されました。
これらの薬剤は高い有効性を有し、寛解導入療法と寛解維持療法の両方に使用することができます。
多くの薬剤では、寛解導入時に点滴投与を行い、その後は皮下注射による維持療法へ移行します。
JAK阻害薬と比較すると効果発現はやや緩徐ですが、安全性が高く、長期的な治療継続が期待できる薬剤です。また、帯状疱疹や血栓症のリスクが比較的少ないことも特徴です。
潰瘍性大腸炎の炎症に深く関与するサイトカインの一つであるTNF-α(腫瘍壊死因子α)の働きを抑えることで腸の炎症を改善します。
日本では、2010年にインフリキシマブ(レミケード®)、2013年にアダリムマブ(ヒュミラ®)、2017年にゴリムマブ(シンポニー®)が潰瘍性大腸炎に対して承認されました。
いずれの薬剤も寛解導入療法と寛解維持療法の両方に使用することができます。インフリキシマブは点滴静注製剤であり、アダリムマブとゴリムマブは皮下注射製剤です。
抗TNF-α抗体製剤は効果発現が比較的早く、多くの患者さんで高い治療効果が期待できます。一方で、肺結核やB型肝炎の再活性化を含む重篤な感染症に注意が必要であり、治療開始前には結核やB型肝炎のスクリーニング検査を行います。
また、長期間使用すると薬剤に対する抗体(抗薬物抗体)が産生され、効果が低下することがあります。その場合は、他の生物学的製剤やJAK阻害薬などへの変更を検討します。
タクロリムス(プログラフ®)は、主に中等症から重症の潰瘍性大腸炎に対する寛解導入療法として使用されます。効果発現が比較的早く、ステロイド治療で十分な効果が得られないステロイド抵抗例や、ステロイド依存例に対して有効な治療選択肢となります。
タクロリムスは血中濃度によって効果や副作用が大きく変わるため、定期的な採血による血中濃度モニタリングが必要であり、入院下で投与が開始されます。
スフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体調節薬は、炎症を引き起こすリンパ球が血液中から腸管へ移動するのを抑えることで、潰瘍性大腸炎の炎症を改善する内服薬です。
日本では、オザニモド(ゼポジア®)とエトラシモド(ベルスピティ®)が承認されました。
いずれも内服薬であり、寛解導入療法と寛解維持療法の両方に使用することができます。注射や点滴を必要としないため、通院負担が少ないことが特徴です。
効果発現は比較的早く、中等症から重症の潰瘍性大腸炎に対する治療選択肢の一つとなっています。
どの治療薬を選択するかは、病変範囲、重症度、年齢、合併症、妊娠希望の有無、過去の治療歴などによって異なります。
当院では患者さん一人ひとりの病状やライフスタイルに合わせて最適な治療法をご提案し、長期的な寛解維持と生活の質(QOL)の向上を目指しています。
潰瘍性大腸炎およびクローン病は、厚生労働省が定める指定難病であり、一定の条件を満たした場合には医療費助成制度を利用することができます。
助成の対象は、重症度が中等症以上の患者様が原則となりますが、軽症であっても長期間にわたり高額な医療費が必要な場合は対象となることがあります。
当院では、受給者証の新規申請や更新手続きに必要な書類作成についても対応しております。制度についてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
医療費助成を申請する際には、主に以下の書類が必要となります。
これらの書類をそろえ、お住まいの自治体の窓口へ提出します。
当院では、難病指定医が作成する「診断書(臨床調査個人票)」の作成に対応しております。申請をご希望の方はお気軽にご相談ください。
川口市にお住まいの方は、以下の窓口へ申請書類をご提出ください。
川口市保健所 疾病対策課 難病相談係
〒333-0842 埼玉県川口市前川1-11-1
※申請方法や必要書類は変更される場合があります。詳細は自治体のホームページをご確認ください。
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