2026年9月22日
「便秘」というと、「何日も便が出ない状態」をイメージされる方が多いと思います。
しかし、医学的には排便回数が少ないことだけが便秘ではありません。
『便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症』では、便秘とは、便が大腸内に滞ることで硬い便になったり、排便回数が減ったりすることに加えて、便を快適に出せず、強くいきむ、便が残っている感じがする(残便感)、出口でつかえる感じがする、便が出しにくいといった状態も含むとされています。
つまり、「便が出ない」だけでなく、「便をすっきり出せない」ことも便秘の重要な症状なのです。
便秘症ではどのような症状がみられますか?
ガイドラインでは、便秘症の症状を大きく分けると、次のように考えることができます。
① 排便回数が減ることによる症状
腹痛、お腹の張り(腹部膨満)など
② 便が硬いことによる症状
便が出しにくい、強くいきむなど
③ 便をうまく出せないことによる症状
軟らかい便でも出しにくい、強くいきむ、残便感がある、そのため何度もトイレに行くなど
実際の診断基準では、硬便、週3回未満の自発排便、強いいきみ、残便感、直腸・肛門の閉塞感や排便困難感、用手的な排便介助という6項目があり、このうち2項目以上を満たすことが便秘症の診断基準となっています。
「排便回数が少ない=便秘症」とは限りません
ただし、排便回数が少ないからといって、必ずしも病気とは限りません。
たとえば、食事の量が少なければ、つくられる便の量も少なくなるため、排便回数が減るのは自然なことです。
つまり、排便回数や便の量が少ないというだけでは、便秘症とはいえません。
また、排便困難感や残便感があるからといって、それだけで便秘症と判断できるわけでもありません。
実際には直腸内に便があまり残っていなくても、直腸の感覚が過敏になっているために便意や残便感を感じ、強くいきんだり、何度もトイレに行ったりする方もいます。
そのため便秘の診療では、「何日に1回便が出るか」だけではなく、便の硬さ、排便のしやすさ、いきみ、残便感、腹痛、お腹の張りなどを総合的にみることが大切です。
最近になって便通が変わった場合は注意が必要です
もう一つ大切なのが、「以前と比べて便通が変わっていないか」ということです。
ガイドラインでは、慢性便秘症を診療するうえで、大腸がんなどによる「狭窄性器質性便秘症」を見逃さないことが重要とされています。
「狭窄性器質性便秘症」とは、大腸がんや腸管の炎症などによって腸の中が物理的に狭くなり、便が通りにくくなることで起こる便秘症です。ガイドラインでも、大腸がんや腸管の炎症による消化管狭窄が代表的な原因として挙げられています。
つまり、便秘には腸の働きや生活習慣などが関係するものだけでなく、大腸そのものに病気が隠れている場合もあります。
特に、急に便通が変わった、血便が出た、予期せず体重が減ったなどは注意が必要な症状です。このような場合には、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)による評価の必要性がガイドラインにも記載されています。
これまで便秘ではなかったのに最近便秘になった方や、血便や体重減少などを伴う方は、単なる便秘と思い込まず、一度消化器内科で原因を調べることをおすすめします。
大腸内視鏡検査をご希望の方は、当院ホームページからご予約いただけます。
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