B型肝炎(HBV)
B型肝炎(HBV)

B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)が血液や体液を介して感染し、肝臓に炎症を起こす病気です。
健康診断や人間ドック、妊婦健診、手術前検査などで「HBs抗原陽性」「HBVキャリア」と指摘され、受診される方も少なくありません。
HBs抗原が陽性でも、すべての方に治療が必要なわけではありません。一方、症状がなくても慢性肝炎から肝硬変へ進行したり、肝がんを発症したりすることがあります。
そのため、HBs抗原陽性を指摘された場合は、症状がなくても一度詳しい検査を受けることが大切です。
HBVに感染した場合、その経過は大きく「一過性感染」と「持続感染(HBVキャリア)」に分けられます。
成人になってから感染した場合、多くは一過性感染で、急性肝炎を発症した後にウイルスが排除されます。症状がほとんどなく、感染に気づかないまま治ることもあります。
一方、出産時や乳幼児期に感染すると、HBVが体内に長期間残る「持続感染(HBVキャリア)」になりやすいことが知られています。
HBVキャリアの方でも、ウイルスの活動性が低く、肝機能が正常な状態が長く続くことは珍しくありません。
しかし、一部では肝炎が持続・再燃し、
慢性肝炎→肝線維化→肝硬変→肝がん
へ進行することがあります。
そのため、現在肝機能が正常で症状がなくても、定期的な検査を受けることが重要です。
「HBs抗原陽性=すぐに治療が必要」というわけではありません。
HBs抗原はB型肝炎ウイルスの表面に存在するタンパク質です。血液検査でHBs抗原が陽性の場合、基本的には現在HBVに感染していることを示します。
HBs抗原陽性を指摘された場合に重要なのは、
を確認することです。
検査結果によって、定期的な経過観察でよい方と、B型肝炎の治療を検討した方がよい方に分かれます。
HBs抗原陽性・HBVキャリアを指摘された方は、症状がなくても一度、消化器内科・肝臓専門医へご相談ください。
B型肝炎ウイルス(HBV)は、主に血液や体液を介して感染します。
主な感染経路には、
などがあります。
以前の日本では母子感染などによる乳幼児期の感染が重要でしたが、現在では母子感染予防やB型肝炎ワクチンの普及によって、新たな母子感染は大きく減少しています。
一方、成人では性行為によるB型急性肝炎にも注意が必要です。
食事、握手、会話、咳やくしゃみなど、通常の日常生活でHBVが感染することは基本的にありません。
そのため、HBVキャリアであることを理由に、家庭・学校・職場などで生活を分ける必要はありません。
ただし、歯ブラシやカミソリなど、血液が付着する可能性があるものは共用しないようにしましょう。
家族やパートナーにHBV感染者がいる場合は、HBs抗原・HBs抗体の血液検査を行うことをおすすめします。
HBVに感染しておらず、十分な免疫がない場合には、B型肝炎ワクチンによって感染を予防することができます。
特にHBVキャリアの方のパートナーは、感染予防のためB型肝炎ワクチンの接種を検討しましょう。
HBs抗原陽性の場合、血液検査と腹部超音波(エコー)検査などを組み合わせてHBVと肝臓の状態を評価します。
主な検査は、
などです。
HBV-DNAは、血液中のB型肝炎ウイルスの遺伝子量を測定する検査です。
簡単にいうと、「現在HBVがどのくらい増殖しているか」を調べる検査です。
HBV-DNAは、B型肝炎の活動性、治療の必要性、治療効果などを判断する重要な指標です。
ただし、HBV-DNAが低いからといって、将来の肝硬変や肝がんのリスクがなくなるわけではありません。
現在、ALTが正常でHBV-DNAが低値であっても、B型肝炎の状態は将来変化することがあります。
そのため、
定期的に、
血液検査+腹部超音波(エコー)検査
などを行い、肝炎の活動性や肝がんの有無を確認することが大切です。
検査の頻度は、年齢、HBV-DNA、肝線維化の程度、肝がんリスクなどによって異なります。
B型肝炎による肝臓の炎症が長期間続くと、肝線維化が進行し、肝硬変になることがあります。
また、B型肝炎では肝細胞がん(肝がん)にも注意が必要です。
そのため、定期的な腹部エコーなどによるチェックが重要です。
HBs抗原が陽性だからといって、すべての方に抗ウイルス治療を行うわけではありません。
治療が必要かどうかは、
HBV-DNA、ALT、肝線維化、肝硬変の有無、年齢など
を総合的に評価して判断します。
B型肝炎治療の目的は、HBVの増殖と肝臓の炎症を抑え、肝硬変への進行や肝不全を防ぎ、肝がんの発症リスクを低下させることです。
B型肝硬変では、HBV-DNAが陽性の場合、ALTの値にかかわらず核酸アナログによる治療を検討します。
B型慢性肝炎・B型肝硬変の治療には、核酸アナログ製剤と呼ばれる抗ウイルス薬があります。
代表的な薬剤には、
などがあります。
核酸アナログは、B型肝炎ウイルス(HBV)の増殖を強力に抑える内服薬です。HBV-DNAを低下させ、肝炎を抑えることで、肝硬変への進行や肝がんの発症リスクを低下させることを目的として使用します。
患者さんの年齢、腎機能、肝臓の状態、これまでの治療歴などを考慮して、適切な薬剤を選択します。
治療によってHBV-DNAが「検出せず」となっても、HBVが完全に体内からなくなったとは限りません。
自己判断で薬を中止するとHBVが再び増殖し、肝炎が再燃することがあるため、必ず医師と相談してください。
B型慢性肝疾患に対する核酸アナログ治療では、一定の条件を満たす場合、B型肝炎の医療費助成制度を利用できます。
制度を利用すると、所得などに応じて月々の医療費の自己負担額に上限が設けられます。
申請には、HBV-DNAや肝機能などの検査結果や診断書等が必要になります。
対象となるかどうかは患者さんの病状や治療内容によって異なりますので、診察時にご相談ください。
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