ピロリ菌は除菌後に再感染する?最新の研究からわかった原因と口腔内ピロリ菌との関係|川口・西川口の内視鏡検査|西川口・内科消化器内視鏡クリニック

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ピロリ菌は除菌後に再感染する?最新の研究からわかった原因と口腔内ピロリ菌との関係

ピロリ菌は除菌後に再感染する?最新の研究からわかった原因と口腔内ピロリ菌との関係|川口・西川口の内視鏡検査|西川口・内科消化器内視鏡クリニック

2026年7月02日

「ピロリ菌は一度除菌しても、また感染することがありますか?」

患者さんから非常によくいただく質問です。

結論から言うと、日本で除菌に成功した成人が再感染することは極めて稀とされています。

日本で行われた1,609人を対象とした多施設共同前向き研究では、除菌後に再びピロリ菌が陽性となった患者さんは26人(1.6%)でした。さらにDNA解析により菌株を比較したところ、その多くは新たな感染ではなく、除菌時にわずかに残存していた菌が再び増殖した「再燃」と考えられました。真の再感染率は年間0.22%であり、1,000人が除菌に成功した場合でも、新たに感染する人は年間約2人という非常に低い頻度でした。

では、除菌後に再びピロリ菌が見つかる原因には、どのようなものがあるのでしょうか。

1.真の再感染

真の再感染とは、一度完全に除菌された後、新たに外部からピロリ菌が胃内へ侵入し定着することです。

現在では、ピロリ菌の感染の多くは乳幼児期に家族内で成立すると考えられています。成人では胃酸分泌や免疫機能が十分に発達しているため、新たに感染することは非常に少ないことが分かっています。

衛生環境が整った日本では真の再感染率は年間約0.22%ですが、発展途上国など衛生環境の異なる地域では数%以上になることも報告されています。

2.再燃(除菌できていなかったケース)

実際の臨床では、「再感染」と思われた症例の中には、実際には除菌が完全ではなく、残存していた菌が再び増殖した「再燃」が含まれています。

除菌判定を早すぎる時期に行ったり、胃酸を抑える薬(PPI:オメプラール®、タケプロン®、ネキシウム®など、P-CAB:タケキャブ®など)を内服したまま検査を行ったりすると、菌数が一時的に減少し、尿素呼気試験や便中抗原検査で偽陰性となることがあります。

そのため、日本ヘリコバクター学会および国際ガイドライン(Maastricht VI)では、

  • 除菌終了後4週間以上経過してから除菌判定をする
  • PPI・P-CABは除菌判定前は2週間以上休薬する
  • 抗菌薬は4週間以上使用しない状態で除菌判定をする

ことが推奨されています。

3.口腔内ピロリ菌は再感染の原因になるのでしょうか?

近年注目されているのが、「口腔内ピロリ菌」です。

PCR法を用いた研究では、歯垢(デンタルプラーク)、歯周ポケット、舌苔などからピロリ菌のDNAが検出されることがあります。そのため、口腔内に残ったピロリ菌が、除菌後の再感染源(リザーバー)になる可能性が指摘されています。

その理由として、歯垢は細菌が形成するバイオフィルムに覆われており、この中では抗菌薬が十分に浸透しにくいことが知られています。除菌治療で胃内のピロリ菌は消失しても、歯垢内に残った菌が保護される可能性があることから、「口腔内がピロリ菌の隠れ家になるのではないか」と考えられています。

しかし、現時点では「口腔内に残ったピロリ菌が実際に胃へ戻り、再感染を起こした」ことを直接証明した研究はありません。

また、口腔内から検出されるのはピロリ菌のDNAであることが多く、それが生きた菌なのか、一時的に存在しているだけなのかについても、まだ結論は出ていません。

一方で、歯周病治療を除菌治療と併用した研究では、除菌成功率が向上することが報告されています。

例えば、Zaricらの無作為比較試験では、

  • 除菌治療+歯周病治療:77.3%が除菌成功
  • 除菌治療のみ:47.6%が除菌成功

と有意な差が認められました。

さらに2022年のシステマティックレビュー・メタアナリシスでも、歯周病治療を併用するとピロリ菌除菌成功率が有意に向上することが示されています。

これらの結果から、口腔内ピロリ菌が再感染源であることは証明されていないものの、口腔内環境を整えることは除菌成功率の向上や再陽性の予防につながる可能性があると考えられています。

そのため、ピロリ菌除菌を受ける方は、毎日の丁寧な歯磨きに加え、歯石除去や歯周病治療など、歯科医院での定期的な口腔ケアもおすすめします。

まとめ

現在の日本では、ピロリ菌除菌後の真の再感染率は年間約0.22%と非常に低く、日常生活で過度に心配する必要はありません。

再び陽性となった場合には、

  • 除菌判定時の偽陰性による再燃
  • まれな真の再感染
  • 口腔内環境の関与

などを総合的に考える必要があります。

口腔内ピロリ菌は再感染源となる可能性が指摘されていますが、実際に口腔内から胃へ戻って再感染したことを証明した研究は現在のところありません。

一方で、歯周病治療や口腔ケアは除菌成功率を高める可能性が報告されており、除菌治療とあわせて口腔内の健康を保つことは大切です。

参考文献

  1. Take S, et al. Recurrence of Helicobacter pylori infection after successful eradication in Japan: a multicenter prospective study. J Gastroenterol. 2013;48:1126-1132.
  2. Malfertheiner P, et al. Management of Helicobacter pylori infection: the Maastricht VI/Florence Consensus Report. Gut. 2022;71:1724-1762.
  3. Zaric S, et al. Periodontal therapy improves gastric Helicobacter pylori eradication. J Dent Res. 2009;88:946-950.
  4. Ozturk A, et al. Effect of periodontal therapy on Helicobacter pylori eradication: Updated systematic review and meta-analysis. Oral Diseases. 2022.
  5. Silva DG, Stevens RH, et al. Helicobacter pylori in the oral cavity: current evidence and future perspectives. Molecular Biology Reports. 2024.

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