2026年7月01日
「トイレットペーパーに血が付いたけれど、痔だと思うので様子を見ている。」
「最近、下痢が続いているけれど、仕事が忙しくて病院へ行けない。」
20〜40代の患者さんから、このようなお話をよく伺います。
この年代は仕事や育児で忙しく、自分の体調を後回しにしがちです。しかし、血便が数日以上続く場合は、痔だけでなく潰瘍性大腸炎が隠れている可能性があります。
潰瘍性大腸炎は20〜40代で発症することが多い病気です。現在は治療法が大きく進歩し、多くの患者さんが仕事や学校生活を続けながら病気をコントロールしています。
大切なのは、「血便くらいなら大丈夫」と自己判断しないことです。
今回は、20〜40代の方に知っていただきたい、血便と潰瘍性大腸炎について詳しく解説します。
血便が続く…20〜40代は痔だけではありません
血便が出ると、多くの方が「痔だろう」と考えます。
もちろん、痔は血便の代表的な原因です。
しかし、血便の原因には次のような病気があります。
- 痔(いぼ痔・切れ痔)
- 感染性腸炎
- 大腸ポリープ
- 大腸がん
- 潰瘍性大腸炎
20〜40代では、大腸がんよりも潰瘍性大腸炎が見つかることも少なくありません。
「若いから大丈夫」と思っている方ほど、受診が遅れてしまう傾向があります。
20〜40代で増えている潰瘍性大腸炎とは?
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こる病気です。
原因は完全には解明されていませんが、免疫の異常、遺伝的要因、腸内細菌の変化、食生活をはじめとする環境因子などが関係して発症すると考えられています。
かつては比較的まれな病気とされていましたが、近年は患者数が大きく増加しています。2023年に実施された全国規模の疫学調査では、日本には約32万人の潰瘍性大腸炎患者さんがいると推計されました。2015年の約22万人から約1.4倍に増加しており、現在では消化器内科で日常的に診療する病気となっています。
特に発症が多いのは20〜40代です。仕事や子育て、学業などで忙しいこの年代は、「痔だろう」「ストレスのせいだろう」「そのうち治るだろう」と受診を後回しにしてしまう方も少なくありません。
しかし、潰瘍性大腸炎は適切な治療によって症状をコントロールし、多くの方が仕事や学校生活を続けながら生活しています。一方で、自己判断で放置すると症状が悪化し、入院やより強力な治療が必要になることもあります。
血便や下痢が続く場合は、「まだ若いから大丈夫」と思わず、一度消化器内科を受診することをおすすめします。

潰瘍性大腸炎を疑う5つの症状
① 血便が数日以上続く
最も代表的な症状です。
便の表面に少し血が付くだけではなく、
- 赤い血が便に混じる
- 粘液と血液が一緒に出る
- トイレが赤く染まる
こともあります。
血便を何度も繰り返す場合は、消化器内科を受診しましょう。
② 下痢が2週間以上続く
一時的な胃腸炎であれば、多くは数日で改善します。
一方で、潰瘍性大腸炎では何週間も下痢が続くことがあります。
「ストレスかな」と思っていても、改善しない場合は注意が必要です。
③ トイレの回数が増えた
以前より排便回数が増え、
- 1日に何度もトイレへ行く
- 急に便意を我慢できなくなる
といった症状がみられます。
④ 夜中にトイレへ起きる
夜間の排便は、潰瘍性大腸炎など炎症性腸疾患を疑う重要な症状です。
夜中にも便意で目が覚める場合は、一度検査を受けることをおすすめします。
⑤ 腹痛や残便感がある
排便後もすっきりせず、
「まだ残っている感じがする」
「またすぐトイレへ行きたくなる」
という症状もよくみられます。
血便だけなら痔?潰瘍性大腸炎との違い
痔では、
- 排便時だけ出血する
- トイレットペーパーに鮮血が付く
- 下痢は伴わないことが多い
という特徴があります。
一方、潰瘍性大腸炎では、
- 血便が何日も続く
- 下痢を伴う
- 排便回数が増える
- 腹痛がある
- 夜間にも排便がある
という症状がみられます。
ただし、痔と潰瘍性大腸炎を同時に合併していることもあり、自分だけで見分けることは困難です。
血便が何日続いたら病院へ行くべき?
次のような症状がある方は、できるだけ早く消化器内科を受診してください。
- 血便が2〜3日以上続く
- 血便を繰り返す
- 下痢が2週間以上続く
- 腹痛を伴う
- 夜中にも排便がある
- 体重が減ってきた
- 家族に潰瘍性大腸炎の方がいる
また、一度に大量の血便が出た場合や、ふらつき・めまい・動悸を伴う場合は、早急な受診が必要です。
大腸カメラで何がわかる?
潰瘍性大腸炎の診断には、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)が欠かせません。
大腸カメラでは、
- 炎症の有無
- 炎症の広がり
- 炎症の程度
- 他の病気との違い
を詳しく確認できます。
必要に応じて組織を採取(生検)することで、診断をより正確に行います。
「痔なのか」「潰瘍性大腸炎なのか」「他の病気なのか」を見極めるためにも、大腸カメラは非常に重要な検査です。
当院の潰瘍性大腸炎診療
当院では、潰瘍性大腸炎の診断から長期フォローまで一貫して行っています。
- 消化器内科専門医による診療
- 苦痛の少ない鎮静下大腸カメラ
- 5-ASA製剤、ステロイド、免疫調節薬による治療
- 生物学的製剤やJAK阻害薬、IL-23阻害薬、S1P受容体調節薬などの最新治療
- 難病指定医療費助成制度の申請サポート
- 他院で治療中の方の相談
「血便が続いているけれど受診すべきか迷っている」「現在の治療でなかなか改善しない」という方も、お気軽にご相談ください。
まとめ
20〜40代で血便が続く場合、「痔だから大丈夫」と自己判断してしまう方は少なくありません。
しかし、
- 血便が数日以上続く
- 下痢が続く
- 排便回数が増えた
- 夜中にもトイレへ行く
- 腹痛を伴う
このような症状がある場合は、潰瘍性大腸炎が原因の可能性があります。
潰瘍性大腸炎は若い世代に多い病気ですが、現在はさまざまな治療法があり、多くの患者さんが仕事や学校生活を続けながら生活しています。
「まだ若いから大丈夫」「痔だろう」と自己判断せず、血便が続く場合は早めに消化器内科へご相談ください。