日帰り大腸ポリープ切除
日帰り大腸ポリープ切除
大腸内視鏡検査中に、大腸ポリープが発見されることがあります。便潜血検査で「陽性」と判定された方や、症状があって検査を受けた方では、ポリープが見つかる確率は50%以上とされています。大腸ポリープの多くは、がん化する可能性のある「腺腫」と呼ばれる種類です。そのため、ポリープが小さいうちに切除することで、大腸がんの予防につながります。
切除したポリープは、病理検査に提出し、細胞の種類やがんが含まれていないかを詳しく調べます。大腸内視鏡検査のみの場合、約15分で終わりますが、ポリープを切除する場合は、もう少し時間がかかることがあります。その場でポリープを切除する方法を「日帰り手術」と呼びます。外来で行うので、検査後はご帰宅いただけます。
ただし、大腸ポリープを切除した後には切除した場所から出血するなどのリスクがあるため、当日は食事や入浴、運動などに制限があります。
また、ポリープ切除後1週間程度は、飲酒や旅行、激しい運動も控える必要があります。制限内容や程度は処置の内容や体調によって異なるため、詳しい注意事項は内視鏡検査後にお伝えします。
尚、下記に該当する場合は、日帰りではなく入院による内視鏡治療が望ましいです。その場合は高度医療機関へご紹介いたします。
大腸ポリープとは、大腸の粘膜から盛り上がってできるイボ状の突起物のことです。
大腸ポリープには、がんになる可能性がある「腫瘍性ポリープ」と、がんにならない「非腫瘍性ポリープ」があります。
腫瘍性ポリープ
がんに進行する可能性があるため注意が必要です。腫瘍性ポリープには「腺腫」や「鋸歯状病変(sessile serrated lesion, SSL)」があります。特に腺腫や一部の鋸歯状病変(SSA/P)は、がん化のリスクがあるため早期に切除が推奨されます。
非腫瘍性ポリープ
こちらはがんにはならないため、通常は治療の必要がありません。
大腸がんは、粘膜の細胞ががん化することで発生します。
発生する原因としては、良性のポリープが大きくなるうちにがんに変化するケースと、正常な細胞が直接がん化するケースの2つがあります。
特に日本人では、大腸がんの約70%が大腸のS状結腸と直腸に発生すると言われております。
ポリープの種類を正しく診断することが重要であり、当院では、富士フイルム社の最新・最上位内視鏡システム「ELUXEO 8000」を導入しております。
さらにAI内視鏡システム「CAD EYE」も使用することで、拡大観察と特殊光観察を行い、大腸ポリープ、大腸がんの適切な診断をし、適切な治療を選択するよう努めております。
早期に発見し早期に治療することで、非常に効果的に大腸がんの予防が可能であると考えております。
内視鏡の先に付いているスネアで、ポリープの根元を締め付けて切り取る方法です。
電流を使わずにポリープを切り取る「コールドポリペクトミー」と、高周波電流を流してポリープを切り取る「ホットポリペクトミー」に分かれます。
コールドポリペクトミー
(コールドスネアポリペクトミー)
10mm以下のポリープを切り取る時に選択される方法です。
多少の出血を伴いますが、自然に止血できる程度の出血です。
高周波電流(電気)を使わないので、後からの出血する可能性を大幅に低減できます。後述の高周波電流を用いた従来のポリペクトミーと比較して検査後出血率は1/10程度と安全な手法であると報告されています。さらに、穿孔の可能性も低いとされます。
また、心臓にペースメーカーを挿入している方や、抗血栓薬(いわゆる“血液をサラサラにさせる薬”)を飲んでいる方でも受けていただけます。
(ホット)ポリペクトミー
10mm以上のポリープを切り取る時に、選択される方法です。
従来では10mm以下のものでも(ホット)ポリペクトミーを選択することが多かったです。高周波電流を流すことで確実にポリープを切除することが可能ですが、腸管組織への負担があり、術後の出血や穿孔のリスクがコールドポリペクトミーより少し高いと言われております。
従前からある方法であり、出血のリスクはあるものの、ほとんどの症例では偶発症なく日帰りで安全に治療できます。
スネアで締め付けられない、平らなポリープなどがあるときに選択される方法です。
粘膜下層に生理食塩水を注射することで、ポリープ全体を浮かせてから“のりしろ”を作り、そこにスネアを引っかけます。
高周波電流(電気)を流しても生理食塩水によって熱が深くまで伝わらないため、身体への負担を少なくしながら安全に、かつ確実に切り取ることができます。
取り残しもなく正確に切除できるため、早期の大腸がんの切除などを切除する時にも行われます。
切除後に一番発生しやすい偶発症は「出血」です。
出血を防ぐため、切除から約1週間のうちは日常生活に制限を設けていただきます。
切除したポリープのサイズや数などにもよりますが、ほとんどの場合は数日程度で済みますが、大きなポリープや早期がんなどを切除した場合は、1週間ほど制限しながら過ごしていただく必要があります。
入浴
大腸ポリープを切除した当日はシャワーのみで、入浴は控えましょう。翌日以降は入浴しても問題ありません。
食事
食事切除当日から普段通りに食事しても大丈夫ですが、香辛料の多い料理や脂っこい料理は避けてください。
飲酒
飲酒により出血しやすくなるので1週間は飲酒しないようにしてください。
運動
医師から指示された期間中は、激しい運動や腹圧がかかる(お腹に力を入れる)ような運動を行わないでください。軽めの運動(散歩やウォーキングなど)でしたら問題ありません。
旅行や出張
約1週間の間は、旅行・出張のスケジュールを入れないでください。特に飛行機での移動は、気圧の影響により出血のリスクが高まるので避けてください。
すでに予定が入っている場合は、1週間以上前、またはその予定の後に、大腸カメラ検査の予約を取るようお願いしています。
やむを得ない事情等で出張が入ってしまった場合は、「それ以降の日に予約を入れていただく」か「検査だけ受けていただく(ポリープが発見され次第、別日に切除する)」という方法のどちらかをお選びください。
出血があった場合
出血があった場合便に少し血液が付いている程度の出血でしたら、特に心配する必要はありません。しかし鮮やかな赤い出血が何度も続く場合など、出血が目立っている場合や痛みを伴う場合は、速やかにご連絡ください。
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