逆流性食道炎
逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃の中の胃酸が食道に逆流して、食道に炎症を起こす病気です。通常は胃酸が食道に逆流してもすぐにおさまるので問題ありませんが、逆流する時間が長くなると胃酸による食道の炎症が生じます。
現在、日本人の6~30%がこの病気にかかっているとされ、今後さらに増加が予想されています。その理由として次の3つが考えられています。
食道と胃のつなぎ目には「下部食道括約筋」という筋肉があります。この筋肉は普段、胃の入り口を閉じていて、食べ物を飲み込むときだけ開きます。これにより胃の内容物が食道に逆流しないようになっています。
しかし、この筋肉が緩むと逆流が起こりやすくなります。
筋肉が緩む原因は大きく3つに分けられます。
これらが組み合わさると、胃酸が食道に逆流しやすくなり、逆流性食道炎が起こります。
また最近では、一時的な逆流に伴う粘膜の炎症やストレスなどによって、食道の過敏性を異常に高めてしまうこと(知覚過敏)が、逆流性食道炎の症状発生に大きな役割を果たしているとの報告もあります。
逆流性食道炎の症状は非常に多彩です。全く無症状な方もいれば胸焼けやのどの違和感などを自覚される方もいます。
主な症状は次の3つです。
その他にも、胃酸が喉まで逆流すると以下の症状が出ることがあります。
特に寝ているときに症状が悪化することがあり、のどの違和感や咳が起きやすくなります。
日本消化器科病学会では、胃食道逆流症(GERD)を胃カメラ検査で粘膜障害のある“びらん型胃食道逆流症”と粘膜障害のない“非びらん型胃食道逆流症”に分類しています。逆流症状患者のほぼ40%がびらん型で60%が非びらん型逆流症(NERD)です。
びらん型(粘膜に傷がある):約40%
非びらん型(粘膜に傷がない):約60%
日本人のびらん性胃食道逆流症の90%は軽度のGERD-AかBです。
日本では逆流症を訴える多くの患者さんの病態はびらんが軽度か、びらんを認めない病態です。
このため治療に対しても、この点を考慮し各患者さんに適切な治療が望まれます。
Grade N
Grade M
Grade A
Grade B
Grade C
Grade D
(Gastroenterological Endoscopy Vol.56(5), May. 2014 より引用)
内服による治療と生活習慣の改善が必要となります。
内服治療
胃酸を抑える薬(主にプロトンポンプ阻害薬)を投与します。効果が不十分な場合には、胃の運動を改善する薬や、酸を中和する制酸薬(水剤)を併用することがあります。治療には生活指導、薬物療法、外科的治療があります。
生活指導
食後逆流しにくいように、すぐ横にならないことや、腹圧の上がるような前かがみの姿勢を避けたりすることである程度の予防、治療が可能です。逆流を起こしやすい食品として下記のものがあり、食事の改善などの生活習慣を変えることも重要になります。
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