IBD(炎症性腸疾患)専門外来
IBD(炎症性腸疾患)専門外来
IBDについては、炎症性腸疾患のページをご覧ください。
潰瘍性大腸炎には活動期と寛解期の2つの時期があり、活動期とは血便や腹痛症状が強く現れる時期、寛解期とは血便や腹痛症状が治まっている時期のことです。潰瘍性大腸炎はその2つの時期を繰り返す疾患といわれます。
潰瘍性大腸炎の治療開始時には病気が活発な状態なので、まずはそれを寛解に持ち込む寛解導入治療を行います。寛解導入に成功したらその後、再燃させないように寛解導入治療を行います。
比較的軽い潰瘍性大腸炎では、5-ASA製剤で寛解導入から寛解維持まで可能ですが、ステロイドを使用する場合は、ステロイドで寛解導入、寛解維持は5-ASA製剤のみ、またはチオプリン製剤を追加します。重要なのは、ステロイドは寛解導入にのみ使用し、寛解維持には使用しない点です。ステロイドは潰瘍性大腸炎に対する寛解維持効果を有せず、ステロイド長期間使用による副作用の問題があるからです。
5-ASA製剤は比較的安全な薬ですが、副作用として不耐症があります。
5-ASA製剤不耐例では、5-ASA製剤内服開始して1週間後くらいに下痢の悪化、腹痛、倦怠感、発熱などの症状が出現します。5-ASA製剤を開始するUC患者さんの約10%で出現すると言われております。
対処法としては、5-ASA製剤を中止します。これにより下痢、腹痛、発熱などの症状は改善しますが、もともとのUCによる症状は残ります。
5-ASA製剤不耐例における寛解導入治療では、ステロイドや他の製剤を使用します。寛解維持治療には、5-ASA製剤が使用できなければ、チオプリン製剤、バイオ製剤・JAK阻害薬を使用します。
ステロイド治療を行った際、一時的に症状が改善するものの、ステロイドを減量または中止すると症状が再び悪化するケースを指します。
このような場合は、ステロイド再使用(または血球成分除去療法やカロテグラストメチル)にて寛解導入し、チオプリン製剤にて治療します。
適切なステロイド治療(通常は1~2週間)を行っても、症状が改善しないケースを指します。
病気の活動性が高く治療を急ぐ場合は、インフリキシマブやJAK阻害剤を使用します。
逆に、病気の活動性がそれほど高くない場合は、血球成分除去療法またはカロテグラストメチルで寛解導入します。
寛解導入できれば、5-ASA製剤とチオプリン製剤にて寛解維持治療を行います。
以前効いた薬が効かなくなることもある
以前使用して効果のあった薬が効かなくなることもしばしばあります。
例えば、何回か使用していくうちにステロイドが効かなくなり、ステロイド抵抗性になることがあります。
また、バイオ製剤(抗TNF-α抗体製剤)では、治療開始当初は効果が認められていたものの、治療を継続する中で次第に効果が減弱または消失してしまうこともあります。
再燃したら維持治療をレベルアップする
例えば、5-ASA製剤の中等量で寛解維持治療中に再燃したときに、ステロイド投与で一旦改善してもステロイドを減量・中止して、5-ASA製剤中等量にするとまた再燃することがあります、この場合は、5-ASA製剤を高用量で維持するか、チオプリン製剤の追加が必要になります。
治療選択には患者さんの社会背景なども考慮する
例えば、ステロイド治療が必要な場合でも、ステロイドを使いたくない場合は、血液成分除去療法などの別の治療法を検討します。またバイオ製剤の選択において、忙しくて通院が難しい場合は、自己注射製剤の選択が可能です。
さらに、妊娠を予定している場合は、妊娠中禁忌の薬剤(JAK阻害剤やカロテグラストメチル)を使用しないことも考えます。
炎症性腸疾患(IBD)の医療費の助成
国が指定する難病である潰瘍性大腸炎・クローン病(炎症性腸疾患:IBD)にかかっている方のうち、一定以上の病状の方は医療費助成を受けることができます。医療費助成が認められると、医療費の自己負担額は2割となり、外来・入院にかかわらず世帯の所得に応じて1か月の自己負担額に上限が設けられます。潰瘍性大腸炎では軽症(高額)、中等症、重症が医療費助成の対象となります。
当院では申請と更新に必要な診断書(臨床調査個人票)を作成いたします。
詳しくは、杏林製薬のサイト“潰瘍性大腸炎・クローン病の患者さんのための難病医療費助成制度”をご参照ください。
大まかに述べますと、5-ASA製剤でコントロールできなければステロイドを使用、ステロイドが効かないまたはステロイドを使用したくない場合は、血球成分除去療法やカロテグラストメチルを使用します。
ステロイド依存(ステロイドを減量すると症状が悪化する)になる場合はチオプリン製剤を使用、さらにコントロールできない場合はバイオ製剤やJAK阻害薬を使用します。
内科的にコントロールできない場合は、外科手術を考慮します。
当院では血球細胞除去用装置(アダモニター)を用いた血液成分除去療法の導入を準備しております。
適応となるのは以下の場合です。
大塚電子株式会社のホームページから引用
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