2025年4月10日

こんにちは!
「運動は体にいい」と聞くと、ダイエットや筋力アップを思い浮かべがちですが、近年では腸内環境(腸内フローラ)にも良い影響を与えることがわかってきました。
一方で、過剰な運動はかえって腸内環境を悪化させるという研究結果も出ています。
今回は、運動が腸内細菌に与えるメリットとデメリットを、最新の研究に基づいてわかりやすく解説します。
【運動が腸内細菌に良いとされる5つの理由】
まずは、運動がなぜ腸にとってプラスになるのか? その代表的な5つの理由をご紹介します。
① 腸内細菌の多様性が向上する
腸内フローラの「多様性」は、腸の健康を支える重要な指標です。
オーストラリアで発表された研究(Nutrients, 2023)では、週3〜4回、30〜60分の有酸素運動を8週間継続した結果、腸内細菌の多様性が明らかに向上したと報告されています。
② 善玉菌の増加
ウォーキングや軽いジョギングといった中強度の有酸素運動は、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を増やす可能性があります。善玉菌が優位な腸内は、炎症が起こりにくく、病気にもかかりにくい状態になります。
③ 短鎖脂肪酸の産生促進
腸内細菌が作り出す「短鎖脂肪酸(SCFA)」の一種である酪酸は、腸のエネルギー源になるほか、腸壁を保護したり、免疫機能を高めたりと、さまざまな健康効果を持っています。運動によって、こうした有用な代謝物質の産生が促進されることがわかっています。
④ 腸の動き(蠕動運動)を促進
適度な運動は腸の蠕動運動を活発にし、便秘の解消や腸内に溜まった老廃物の排出に役立ちます。
⑤ 炎症を抑える
慢性的な炎症は、腸内環境を悪化させる大きな要因の一つ。
運動には全身の炎症を抑える抗炎症作用があり、腸の健康維持にも効果を発揮します。
【注意!運動のしすぎは腸内環境を悪化させることも】
「運動=腸にいい」は間違いではありませんが、やりすぎはかえって逆効果になることもあります。
たとえば、順天堂大学がウルトラマラソン選手を対象に行った研究では、
非常に強い運動負荷が腸内の酪酸産生菌を減少させる可能性があり、免疫機能の低下にもつながると報告されています。
また、摂南大学・京都府立大学・日本体育大学などによる共同研究では、
「ランナー下痢」の原因に腸内環境の乱れが関与している可能性が示されました(Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition掲載)。
🔍 ランナー下痢とは?
長距離ランナーが日常的に行う長時間・高強度の運動により、運動後に下痢や腹部の不快感などの消化器症状が起こる現象のこと。
【腸活に最適な運動とは?キーワードは「中強度×継続」】
腸内環境を整えるには、無理のない範囲で中強度の有酸素運動を継続することがカギです。
おすすめの運動:
早歩き
軽いジョギング
サイクリング
ヨガやストレッチ
ダンス、エアロビクス
目安は、週3〜4回、1回30〜60分程度。
これは、先述の研究でも腸内細菌の多様性が高まったとされる頻度と時間です。
【運動+食事=最強の腸活コンビ!】
腸内環境を整えるには、運動と並んで食事の改善も欠かせません。
注目すべきはこの2つ:
✅ プレバイオティクス(食物繊維)
✅ プロバイオティクス(発酵食品)
腸が喜ぶおすすめの食材:
バナナ、りんご、オートミール、ごぼう
ヨーグルト、納豆、味噌、キムチ
運動で腸を活性化し、善玉菌のエサになる栄養を食事で補給することで、腸内環境はさらにパワーアップします!
【まとめ|「適度な運動」が腸を救う】
運動は、腸内細菌のバランスを整え、体と心の健康を支える強力な習慣です。
ただし、やりすぎると逆に腸を痛めてしまうこともあるので注意が必要です。
✅ 適度な運動で腸内細菌の多様性が向上
✅ 善玉菌や短鎖脂肪酸が増え、免疫力・代謝・メンタルも改善
✅ 過度な運動は「ランナー下痢」などの腸トラブルのリスクに
✅ 食事と組み合わせて、腸内フローラをさらに整える!
腸は「第二の脳」とも呼ばれる大切な臓器。
今日からできる範囲で、運動と食事の習慣を見直して、あなたの腸を元気にしていきましょう!